きっかけは、妻のため息
「またLINE見てない!」。妻のため息が、最近の我が家では定番BGMになりつつある。犯人は、私と、私の性格をそっくり受け継いだ娘だ。
技術職ということもあり、会社の携帯はあれど四六-中電話が鳴るような仕事ではない。プライベートのスマホも、会社のデスクに置く時と同じサイレントモード(バイブのみ)のままなのが日常だ。休日に散歩へ出ればスマホは肩掛けのポーチの中、家にいればリビングのテーブルに置きっぱなし。これでは、いくら振動しても気づくはずがない。
対照的なのが、息子だ。彼からの返信は常に早い。その腕にはApple Watchが巻かれている。「これのおかげだよ」と笑う彼を見ていると、妻の視線が少しだけ私に厳しくなるのを感じる。
失敗から学んだ「安物買いの銭失い」
息子の様子を見て、私もスマートウォッチに興味を持った。Apple Watchの価格を調べてみて「高いな…」と思いつつも、ちょうどその頃、時間厳守の見学者対応業務というピンポイントなニーズが発生した。
「通知の解消にも繋がるかもしれない」
そんな淡い期待も抱きつつ、数千円の安価なスマートウォッチを購入。アナログ表示も可能で、業務では数回、確かに役立った。
しかし、肝心の「通知機能」が全く機能しなかったのだ。これでは本末転倒。「安物買いの銭失い」とはこのことか。結局、その時計は引き出しの肥やしになっている。
「腕に巻くGemini」との出会い
そんな失敗談もあり、スマートウォッチへの熱は冷めていた。しかしある朝、いつものようにニュースを眺めていると、一つの見出しが目に飛び込んできた。
『Google Pixel Watch 4進化点まとめ――腕に巻くGemini』
「Gemini」…仕事柄、この名前にアンテナが反応した。AIアシスタントが、ついに腕時計の頭脳になるのか。これは技術屋の端くれとして、純粋に興味が湧く。
「これは、ブログのネタになるかもしれない」
妻のため息問題を解決する救世主として、ではなく、あくまで知的好奇心とブログネタとして。私はその詳細を調べ始めた。
調査開始、そして3分後の結論
…そして、調査開始からわずか数分で、その製品が私の選択肢には絶対になり得ないことが判明した。
【要件:Android 11.0 以降を搭載したスマートフォン】
長年のiPhoneユーザーである私にとって、この時計はスタートラインに立つことすら許されない存在だったのである。
だが、ここで引き下がるのも面白くない。どうせ使えないのなら、逆に気兼ねなくその実力とやらを丸裸にしてやろうじゃないか。私は「隣の芝生」を品定めするような気持ちで、調査を続けることにした。
iPhoneユーザーには「絵に描いた餅」でしかないPixel Watch。その餅は、一体どんな味がするのだろうか。
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