ドタバタ早朝劇!雨女伝説を打ち破った奇跡の晴天
旅の始まりは、いつも少し慌ただしい。
「いよいよ出発だー!」
まだ薄暗い早朝にもかかわらず、我が家は全員ぱっちりと目を覚まし、期待に胸を膨ませていた。
実は、少し心配事があった。何を隠そう、我が家の娘はなかなかの「雨女」。大事なイベントの日に限って、雨を呼ぶというジンクスがある。しかも季節は6月末。本来であれば梅雨の真っ只中のはずだった。
ところが、どういうわけか今年は早々に梅雨が明け、空には雲一つない。一日目も素晴らしい晴天だったが、二日目に至っては「季節外れ」という言葉がぴったりの猛暑に見舞われることになるのだが…それはまた、後のお話。
ともかく、ドタバタとうきうきが入り混じった不思議な高揚感の中、私達は新幹線へと乗り込んだ。
満席の「さくら」で広島へ!
山陽新幹線のレールスターの流れをくむ「さくら」や「みずほ」は、普通車でも2列+2列のゆったりシート。やっぱり、この余裕が旅の質をぐっと上げてくれる。土曜日とはいえ、特別なイベントがあるわけでもないのに車内は満席。多くの人が、それぞれの目的地へと向かっている。
うとうとしている間に、列車は定刻通り広島駅に到着した。
「うわ、きれいになっとる!」
駅周辺がリニューアルされたとは聞いていたが、想像以上にモダンで美しい。
個人的に、駅ビル2階に路面電車が上がってくる光景を見てみたかったのだが、運行開始は8月からだったようで、それは叶わず。まあ、大きな問題ではないが、少しだけ残念だった。
宮島口への道中、早くも試練!?ICOCAを持たぬ男の哀愁
気を取り直して、電車で宮島口へ。ここまでは、さすが我が家の誇るプランナー(妻)の計画通り、実にスムーズだ。
しかし、ここで早くも私が足を引っ張る。
妻も娘も、今や当たり前のようにスマホを「ピッ!」。息子も慣れた手つきで改札を抜けていく。そんな中、ICOCAすら持っていない私は、一人だけ券売機で切符を購入する羽目に…。毎度のことながら、家族からは呆れた視線が注がれる。とほほ。(関西系PITAPAは持っていたものの、ポストペイ使用ばかりでチャージしておらず、広島ではチャージする場所も見つからず…)
この「切符買い」の試練は、続くフェリー乗り場や、夜の市電乗車でも繰り返されるのだった…。
いざ、20分の船旅へ!海に浮かぶ神秘の鳥居
フェリーに乗るなんて、一体何年ぶりだろう。
本州から離れるにも、車か鉄道、もしくは飛行機を使うのが当たり前になった今、船に揺られて目的地へ向かうという経験は、本当に記憶の彼方だ。
わずか20分ほどの短い船旅。しかし、潮風を感じながら進んでいくと、あっという間にあの朱色が見えてきた。

「うわぁ…!」
海の上に、本当に鳥居が浮かんでいる。
これこそ、プランナーが満潮時刻を完璧に計算し尽くした結果見られる光景だ。フェリーからではまだその巨大さまでは分からないが、静かな瀬戸内海に佇むその姿は、なんとも幻想的だった。
宮島上陸!鹿と異国情緒と、そして暑さ!
宮島に降り立った瞬間、もわっとした熱気が体を包む。
「なんか、暑いなー!」
それが第一声だった。
土産物屋が並ぶ参道は、多くの観光客で賑わっている。特に、欧米からの観光客が多い印象だ。コロナ前も多かったが、その比率が以前とは少し違うように感じる。
そして、もちろん鹿もいる。
奈良公園の鹿たちとは少し様子が違い、鹿せんべいに猛然と群がることもなく、のんびりしている。中には、奈良ではまず見かけないような小さな子鹿もいて、なんとも微笑ましい。(聞くところによると、奈良では子鹿が一定の大きさになるまで、一般のエリアには出さないそうだ)
神聖な空気と、まさかの「凶」
いよいよ厳島神社へ。
鳥居の根本には、観光客を乗せた小舟が何艘も行き来している。
あれほど暑かった外気とは裏腹に、神社の回廊に足を踏み入れた途端、ひんやりとした空気に包まれた。潮風が吹き抜けるからだろうか。これぞ神秘。多くの観光客がいるにもかかわらず、誰もが大声で騒ぐことなく、静かにその荘厳な雰囲気に浸っている。

さて、こういう場所に来ると、我が家ではお決まりの光景がある。
社会人2年目になった息子と娘だが、習慣になったかのように、すっとおみくじの方へ。どれどれと結果を見に行くと、息子が引き当てたのは、正月に続いてまさかの「凶」…。そういえば、今年は我が家に色々と厄災が…(この時はまだ、証券口座乗っ取り事件は起きていなかったが)。
灼熱の食べ歩きタイム!からの…
少し不穏な空気の中、神社を出て食べ歩きエリアへ向かう。
途中、五重塔が改修中だったこともあり、あまりの暑さに一旦休憩することに。土産物屋の方に教えてもらった大しゃもじの展示がある建物は、ほとんど人がおらず、まさに穴場だった。
そして、お楽しみの食べ歩きだ!
アツアツの「揚げもみじ饅頭」、香ばしい匂いがたまらない「焼き牡蠣」、ご当地の「あなコロ(あなごめしのライスコロッケ)」。どれも最高に美味い!

事前に調べていた「あなごめし」は、ここでは食べない。なぜなら、それは明日の朝、ホテルの朝食バイキングでのお楽しみだからだ。
さて、お腹も満たされたが、夕方の干潮まではまだ時間がある。この炎天下で歩き続けるのは少々厳しい。
「ちょっと涼しいところ、行っとくか」
というわけで、私達は島の端っこにある水族館を目指すことにした。しばしの涼と、癒しの時間を求めて。
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