AI画像生成の“今”(調査結果まとめ)
今回の「お好み探訪」にあたり、まずは2025年11月現在の主要な画像生成AIの「現在地」を調査することから始めました。
私自身、「技術的にも少し興味」を持っていたからです。もともと画像生成AI(MidjourneyやStable Diffusion)は「拡散モデル(Diffusion Model)」という技術を基に、私が普段使っている「LLM(大規模言語モデル)」(Transformer/確率モデル)とは「全くの別物」として進化してきました。
しかし、最近のDALL-E 3(Open-AI製)やImagen 4(Google製)を見ていると、LLMが「プロンプトの意図解釈」を行う“エージェント”として、これら「別物」であった技術が急速に「結合」し始めているように見えます。
技術者のはしくれとして、以前はCNNなどの技術解説本を追いかけてはいたのですが、この「異なる進化軸」が融合・変貌していくスピードは凄まじく、正直なところ「もはや(技術的解説本を読んでも)理解を超えている」というのが実態です。
ちなみに、MidjourneyやStable Diffusionの「進化軸」である「拡散モデル(Diffusion Model)」とは、「ノイズから構成していくモデル」と表現されます。これは、
- まず画像全体を完全なノイズ(砂嵐)で塗りつぶし →
- AIがプロンプト(指示)を頼りに、そのノイズの中から“不要なノイズ”だけを段階的に消していく →
- 最終的に指示された画像だけが残る
という、彫刻に近いアプローチです。LLMが「次の単語」を予測するのとは、根本の発想が異なります。
今回の探訪で「試した」AI、そして「試そうとして脱落した」AIを含め、その「有償/無償」、「発展系譜」、「特徴」を、まずは以下の一覧表にまとめます。
| 探訪AI名 | 有償/無償(制限) | 発展系譜(出自) | 特徴(調査結果と私の所感) |
|---|---|---|---|
| Midjourney | 有料($10/月~) | 独自(拡散モデル) | 最高の芸術的品質。圧倒的な美術力。「王様」。 |
| Google AI (Imagen/nano) | 有料(Google AI Pro契約) 無料(Studio, 制限有り) | Google(LLM/Gemini系) | 探訪の「基盤」。Imagen 4は安定。nano-bananaの同一性は優秀だが、ウォーターマークが難点。 |
| DALL-E 3 | 無料(Copilot枠) | OpenAI(GPT統合) | GPTの対話的理解は強みだが、「浮世絵」の解釈が私の「好み」と合わなかった。 |
| Grok (Aurora) | 無料(Xの無料枠) | xAI(独自・自己回帰型) | 「唯我独尊」な画風。リミッターが緩い? |
| Seedream 4.0 | 無料(サードパーティ枠) | 中華(ByteDance) | 「思いもよらない絵」を出す伏兵。4K画質や編集機能も強力。ただし「中華の恐怖」あり。 |
| DomoAI | 有料(契約済) | 独自(シンガポール) | 本領は「動画・リップシンク」。静止画は「金払った割には???」 |
| Leonardo.Ai | 無料(クレジット制) | SD系SaaS | 「クレジットがすぐ限度」に達し、「脱落」。 |
| Ideogram 3.0 | 無料(クレジット制) | 独自 | 「一回で果てた」。「脱落」。テキスト描画が本領。 |
| FLUX.1 | 無料(クレジット制) | 欧州(BFL, 拡散/Flow系) | 「一回で果てた」。「脱落」。編集が本領。 |
| Qwen-Image | ローカル | 中華(Alibaba) | ローカル環境必須。「脱落」。編集が本領。 |
| rinna / Sakana AI | ローカル/デモ | 日本 | 「日本の話」。ローカライズやモデルマージが特徴だが、手軽に試せず「脱落」。 |
探訪の「本当の動機」:「満足」していた、その“先”へ
この記事は、特定のAIツールの優劣を決めるものではありません。私が現在進行系で「体験」している、AI画像生成の「“お好み”探訪」の実録日誌です。私の創作活動にも使えるような、私の「好み」に合うAIはどれか、その試行錯誤の過程をありのままに記録します。
私のデジタル活動の基盤は、ここ数か月、Google AI Pro(Gemini)でした。そのプロンプトにて画像生成指示すると、それなりの画像が生成されていました。(おそらく Imagen4)
その後、Googleの「nano-banana」が組み込まれ、その「同一性」機能には素直に「感動」しました。それまでブレまくっていたキャラクターが定まったのは事実です。
しかし、同時に“混乱期”が始まりました。チャットAI(巧士)の挙動が「怪しく」なり、「どの画像生成ツールを使用しているのか?巧士は解りません!」と言い出す始末。この混乱が、私が「Google AI Studio」と「チャット(Gemini 2.5 pro)」の役割を“分担”させた直接の理由です。(そして現在では、nano-bananaが出す「ウォーターマーク」が創作活動の「邪魔」になる、という別の問題も出てきています。API呼び出しで消せますが、別途費用発生という状態には納得いってません。)
この“基盤の混乱”と、先に述べた「技術的興味」(違う進化軸)が組み合わさり、「更なる高みのツールが、有りや無や?」という探求心が芽生えました。
これこそが、私が他の画像生成AIの「お好み」探訪に出ることを決めた、「本当の動機」です。
現実の“壁”:「無料AI」探訪と、早すぎた「脱落」
まずは「無料」で試せるという噂のAI群から探訪を開始しました。(その調査結果が、冒頭の一覧表です)しかし、私は早々に「現実の壁」にぶつかります。
rinnaやQwen-Image(Alibaba)、Stable Diffusionの多くは、ローカル環境(自作PC)での実行が前提でした。私の環境では試すことすらできません。
Baidu(ERNIE Bot)は「無料」と謳ってはいるものの、登録には「中国の電話番号」が要求されるなど、「アクセス障壁」が高すぎて断念しました。
これが最も手痛い「壁」でした。Webブラウザで手軽に試せたAI(Leonardo, Ideogram, Flux)は、無料枠の「クレジット」制限が想像以上に厳しかったのです。
「宇宙船」というお題で、凝ったプロンプトとシンプルなプロンプトの5パターンを比較しようと意気込んでいたのですが…
- Ideogram 3.0 :プロンプト1回(4枚生成)で、その日の無料分が「果てた」。
- Flux.1.1 :同様に、1〜2回でクレジットが尽き、「脱落」。
- Leonardo.Ai : 他よりはマシでしたが、それでも5パターン全てを試す前に「限度」が来ました。
これでは「何でもかんでもやってみようとする前に、脱落脱落」です。無料枠では、まともな「お好み」探訪(比較)すらできない。これが現実でした。
「王様」の洗礼とお試し画像一覧
このままでは企画倒れだ。「更なる高み」と噂される「王様」の実力を知るには、腹を括るしかない。私は、Midjourneyの最低額プラン($10/月)を契約しました。
そして、他のAIが「ありきたり」な絵しか出せなかった、あの「操船デッキ」のプロンプトを、Midjourneyに投げてみました。

Imagen4

GPT

Midjourney
「まぁ、美しいですね。はい。」
他のAIたちが、まるで教科書のように「正面」からしか描けなかったあの構図を、Midjourneyはいきなり、この奥行きと「美術力」に溢れた構図で提案してきたのです。
まさに「井の中の蛙大海を知らず」。それが私の率直な感想でした。
他のお題と各画像生成AI描画事例

Midjourney

Imagen4

GPT

DomoAI

Grok

Leonardo

Seedream (1)

Seedream (2)
【個人的感想】
Midjourney が美しさNo.1かと思いますね(構図やフォルム)。 大抵、宇宙船というよりも、戦闘機なのか?という感じな中、 Seedream だけが、赤炎だったり、TIEファイターだったりとユニークですね。

Midjourney

Imagen4

GPT

DomoAI

Grok

Leonardo

Seedream (1)

Seedream (2)
【個人的感想】
Midjourney と Imagen4 が、構図や浮世絵らしさをよくとらえてます。(Imagen4 が勝手に追加した漢字だけが残念。) 後は、なんか独特な雰囲気もあったりはしますが、やはり Seedream だけが、他と大きく異なった雰囲気の画像を生成してくれました。こんなお題を出す、巧士も大概ですね!
もっと、色々と試すための指示(プロンプト)を巧士に依頼して作ってはありますが、画像生成で調査やお試しに時間かけ過ぎたので、次は、Midjourney と Imagen4 (+ Ultra) の比較を中心とします。
今回の「AI探訪記」第1章から得られた「学び」は、非常にシンプルです。
AI画像生成の世界は、無料ツールも多く存在しますが、「無料」には必ず「見えないコスト(=クレジット制限)」が伴います。
「ちょっと試す」ことはできても、「自分の“好み”を探求する」という“試行錯誤”の段階に入ると、無料枠は瞬く間に尽きてしまいます。
この「クレジットの壁」のストレスと、今回目の当たりにした「美術力」の圧倒的な差を天秤にかけると、月額$10(約1500円)の有料プラン(Midjourneyなど)を検討する価値は十分にあるかもしれません。
(※あくまで私の「実体験」に基づく、現時点での感想です。)

